狭小空間の工夫
どんなに小さな屋外空間でも、意味のある場所に変えることができます。
「引き算」で空間を活かす
面積が限られた屋外空間では、あれもこれもと要素を詰め込むほど、かえって窮屈な印象になってしまいます。むしろ意識したいのは、垂直方向の要素を活用すること、軽量なコンテナを使うこと、そして使用する素材の種類を思い切って絞り込むことです。一本の木、小さな水鉢、厳選された数種類の植物――それだけで、十分に印象深い空間をつくることができます。
狭い空間ほど、一つひとつの要素の存在感が際立ちます。だからこそ、質の低いものを数多く並べるより、気に入ったものを少数だけ丁寧に配置するという姿勢が、結果として豊かな空間につながります。
バルコニーでのコンテナガーデニング
バルコニーで植栽を楽しむ場合、まず確認しておきたいのが建物の耐荷重です。土を入れた大型の鉢はかなりの重量になるため、設置場所や数量を計画段階でよく検討する必要があります。あわせて、高層階では風の影響を強く受けやすいため、倒れにくい重心の低いコンテナを選んだり、風よけとなる植栽を組み合わせたりする工夫も有効です。
水やりのしやすさも見落とされがちなポイントです。日常的に無理なく水やりを続けられる動線と、水はけの良い配置を最初から想定しておくことで、植物を長く元気に保つことができます。
細長い側庭のための工夫
建物と隣地の間にできる細長い側庭は、扱いが難しいと思われがちですが、実は明確な設計方針が立てやすい空間でもあります。まずは一本の見通し(シークエンス)となる小径を通し、視線がまっすぐ奥へと導かれるようにします。そのうえで、植栽は片側だけに低く重ねるように配置し、反対側は歩行のためのゆとりとして残しておくと、狭さを感じさせずに緑を楽しめる空間になります。
奥まった突き当たりには、壁掛け式の水の演出や、コンテナに植えた一本の樹木など、視線が自然と集まる焦点となる要素を置くのも効果的です。空間全体を埋めようとするのではなく、視線の終着点を一つだけ用意するという考え方が、狭小空間の設計では特に力を発揮します。
「Less but considered(数は少なく、しかし吟味を尽くす)」――限られた空間では、要素の数を絞り込み、残す一つひとつを丁寧に選び抜くことが、結果として最も豊かな印象を生み出します。