造園デザインの基礎
静かで調和のとれた屋外空間をつくるための、核となる原則を紹介します。
枯山水庭園は、抑制と素材の存在感を追求した典型例です。
一枚の絵として庭を捉える
日本庭園のデザインでは、屋外空間をひとつの生きた絵のように、丁寧に構成していきます。石、植物、木、砂利――そのひとつひとつを、単体としての美しさだけでなく、全体との関係性のなかでどう働くかという視点から選び取っていくのです。
左右対称や華やかさを重視することの多い西洋の庭園とは対照的に、日本の住宅庭園が目指すのは、控えめでありながら深く調和した佇まいです。見る人を驚かせることではなく、そこに立ったときに「これでいい」と静かに感じられる場所をつくることが目的なのです。
核となる考え方
間(ま)― 余白の力
要素と要素のあいだにある「何もない空間」は、要素そのものと同じくらい重要です。余白があるからこそ、目は休まり、心にゆとりが生まれます。
侘び寂び
不完全さ、移ろい、経年による変化のなかに美を見出す考え方です。少し歪んだ石や苔むした木材には、それ自体の品格が宿ります。
非対称性
完全な左右対称を避け、それでいて全体としてバランスの取れた構成は、より自然で生き生きとした印象を与えます。
借景
庭の外に広がる樹木や山並み、空といった風景を、庭そのものの構成要素として取り込む手法です。
素材と抑制
使用する素材は、意図的に限定します。木、石、砂利、水、そして生きた植物――これだけで十分なのです。素材が正直で数少ないものであるほど、それぞれの関係性がかえって明瞭に浮かび上がってきます。
まずは、主となる舗装材をひとつに絞ることから始めましょう。ひとつの視界のなかに登場する植物の種類も、できるだけ絞り込みます。多様さで目を引くのではなく、質感や季節ごとの変化そのものに語らせることが、日本庭園らしい落ち着きにつながります。
「小さな庭では、一つひとつの石と植物に、そこにある意味が求められる。」
― 伝統的な庭師の言葉